憲法 法律上の争訟(11日目)

行政書士試験の憲法の法律上の争訟についてやります。

①法律上の争訟

【警察予備隊違憲訴訟】最大判昭27.10.8

事案の概要:国が行った警察予備隊の設置・維持に関する一切の行為が、憲法9条に違反して無効なものであることの確認を求める訴えを提起した事件。

争点:裁判所が抽象的に法律等の合憲性を判断できるか。

結論:できない。

判旨のポイント:現行の制度の下においては、特定の者の具体的な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上および法令上の根拠は存在しない。

【板まんだら事件】最判昭56.4.7

事案の概要:宗教団体の会員が、宗教物「板まんだら」を安置する建築物を建立するための募金に応じて金員を寄付したが、その後、「板まんだら」が偽物であったとして、錯誤無効により寄付金の返還を請求した事件。

争点:宗教上の教義の判断は法律上の争訟にあたるのか。

結論:あたらない。

判旨のポイント:本件訴訟は、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、その結果信仰の対象の価値、または宗教上の教義に関する判断は、請求の当否を決するについての前提問題であるにとどまるものとされてはいるが、本件訴訟の帰趨(きすう:帰着すること。ゆきつくところ)を左右する必要不可欠のものと認められ、また、本件訴訟の争点および当事者の主張立証の核心となっていると認められることからすれば、結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであって、法律上の争訟にあたらない。

②客観訴訟の例

民衆訴訟:国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益に関わらない資格で提起するもののこと(行政事件訴訟法5条)。

機関訴訟:国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟のこと(行政事件訴訟法6条)。

③司法権の限界

憲法明文上の限界:①国会議員の資格争訟裁判(55条) ②裁判官の弾劾裁判(64条)

【判例で認められた限界】

自立権:国会の両院において議決を経たものとされ適法な手続きによって公布された法律については、裁判所は、両院の自主性を尊重して、制定の議事手続きに関する事実を審理してその有効無効を判断すべきではない(警察法改正無効事件:最大判昭37.3.7)。

統治行為:衆議院の解散といった直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為については、裁判所による法律的な判断が可能であっても司法審査の対象から除かれる(苫米地事件:最大判昭35.6.8)。

部分社会の法理:一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成し、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題は、司法審査の対象から除かれる(富山大学単位不認定事件:最判昭52.3.15)

裁量:行政や立法の自由裁量行為については、裁量権の逸脱または濫用の場合を除いて、司法審査の対象とはならない(朝日訴訟:最大判昭42.5.24、堀木訴訟:最大判昭57.7.7)。

判例変更(最大判令2.11.25)

地方議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となる。この判例は、地方議会の議員の出席停止の処分は司法審査の対象とならないとしていた従来の判例(最大判昭35.10.19)を変更したものである。

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