行政書士試験の憲法5日目は表現の自由です。
表現の自由
表現の自由も絶対無制約ではなく、公共の福祉による制約は受ける。
【表現の内容規制】表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制(例えば国家機密に属する情報の公表の禁止)
【表現内容中立規制】表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制(例えば学校近くでの騒音の制限)
【憲法21条1項による保障】
| 集団行動の自由 | 保障される |
| 報道の自由 | 保障される |
| 取材の自由 | 保障されない※ただし、21条1項の精神に照らし十分尊重に値する。 |
| 筆記行為の自由 | 保障されない※ただし、傍聴人が法定においてメモを取ることは、その見聞する裁判を認識、記憶するためになされるものである限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならない。 |
【パブリック・フォーラム論】表現を社会に伝達する自由を保障する場合、その表現の場を確保することが重要な意味を持ち、特に表現の自由の行使が行動を伴うときにはそのための物理的な場所が必要となる。一般公衆が自由に出入りできる場所は、それぞれの本来の利用目的を備えているが、それは同時に、表現のための場として役立つことが少なくなく、道路や広場はその例である。
博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大決昭44.11.26)
事案の概要:学生と機動隊員とが博多駅付近で衝突し、機動隊側の過剰警備に関する公務員の職権濫用罪等について検察が不起訴にしたことの当否を審査する審判において、裁判所がテレビ放送会社に対して、衝突の模様を撮影したテレビフィルムを証拠として提出するよう命令した事件。
争点:①報道の自由は、憲法21条で保障されているのか ②報道のための取材の自由は、憲法21条で保障されているのか
結論:①保障されている。 ②保障されていない。
判旨のポイント:報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであり、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にある。また、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといえる。本件において、提出命令の対象とされたのは、すでに放映されたフィルムを含む放映のために準備された取材フィルムである。それは報道機関の取材活動の結果すでに得られたものであるから、その提出を命ずることは、フィルムの取材活動そのものとは直接関係がない。もっとも、報道機関がその取材活動によって得たフィルムは、報道機関が報道の目的に役立たせるためのものであって、このような目的をもって取材されたフィルムが、他の目的、すなわち、本件におけるように刑事裁判の証拠のために使用されるような場合には、報道機関の将来における取材活動の自由を妨げるおそれがないわけではない。しかし、取材の自由といっても、もとより何らの制約を受けないものではなく、公正な刑事裁判の実現というような憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受けることがある。本件フィルムの提出命令は、憲法21条に違反するものではなく、その趣旨に抵触するものでもない。
ビラ配布行為と名誉侵害(最判平1.12.21)
事案の概要:公立小学校において、通知表の評価方式を改めたことに反対する教師が児童に通知表を交付しないといった混乱が生じ、市民が教師を批判する内容のビラを配布したことに対し、教師が当該市民に対して損害賠償と謝罪広告を求めて出訴した事件。
争点:公立小学校における通知表の交付をめぐる混乱についての批判・論評を主題とする本件ビラ配布行為が名誉侵害としての違法性を欠くのか。
結論:名誉侵害の不法行為の違法性を欠く。
判旨のポイント:公共の利害に関する事項について自由に批判、論評を行うことは、もとより表現の自由の行使として尊重されるべきものであり、その対象が公務員の地位における行動である場合には、当該批判等により当該公務員の社会的評価が低下することがあっても、その目的が専ら公益を図るものであり、かつ、その前提としている事実が主要な点において真実であることの証明があったときは、人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉侵害の不法行為の違法性を欠くものというべきである。
※第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
