行政法4日目②(公物)

国家賠償の対象は人(公務員)と物(公物)になります。前回は人(公務員)でしたが今回は物(公物)です。

始めます

公物

河川・道路・公園などのように、国または公共団体によって、直接に公の用に供される個々の有体物を「公物」という。なお、人工公物と自然公物では、公用開始の観念に違いがあり、人工公物は公用開始行為によって公物となり、自然公物は自然の状態で公物であるため、公用開始行為という観念は成立しないとされている。

定義:公物とは、国または公共団体によって直接に公の用に供される個々の有体物のことをいう

公共用物:一般公衆の共同使用に供される公物。道路、河川がこれにあたる。

公用物:国または公共団体の公用に供される公物。官公署の建物や敷地がこれにあたる。

人工公物:行政主体が加工を加え、意図的に公の用に供すること(公用開始行為)によって公物となるもの。道路がこれにあたる。

自然公物:自然の状態ですでに公の用に供することができる公物。河川がこれにあたる。

国有公物:国が所有権を有する公物。

公有公物:公共団体が所有権を有する公物。

私有公物:私人が所有権を有する公物。

行政財産の目的外使用許可の撤回:公有行政財産の目的外使用許可が撤回された場合、当該行政財産たる土地につき使用許可によって与えられた使用権は、それが期間の定めのない場合、当該行政財産本来の用途または目的上の必要を生じたときはその時点において消滅すべきものであり、原則として損失補償は不要である(最判昭49.2.5)。

(判決の結論)

都有行政財産である土地について、建物所有を目的とし、期間の定めなくされた使用許可が、当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向つて取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のないかぎり、右取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできない

(判決の理由)

使用権者が使用許可を受けるに当たり、その対価の支払をしているが、当該行政財産の使用収益により右対価を償却するに足りないと認められる期間内に当該行政財産に右の必要を生じたとか、使用許可に際し別段の定めがされている等により、行政財産についての右の必要にかかわらず使用権者がなお当該使用権を保有する実質的理由を有すると認めるに足りる特別の事情が存する場合に限られるというべきである。

公物と時効取得:長年の間、事実上公の目的に供されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物に対して他人の占有が継続しても公の目的が害されることもなく、それを公共用財産として維持すべき理由もなくなっている場合には、黙示的な公用廃止を認め、取得時効の対象としている(最判昭51.12.24)。

判例事案の概要:公図上は水路として表示されている国有地を10年以上使用し続けたXが、国に対して取得時効を主張し、所有権確認の訴えを提起した事件。

争点:公物に黙示の公用廃止があったものとして、公物の時効取得を認めることができるのか?

結論:できる

判旨のポイント:公共用財産が長年の間、事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、当該公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げない。

海と所有権の客体(最判昭61.12.16)

所有権の客体たる土地の該当性:海は、そのままの状態においては所有権の客体たる土地にあたらない。しかし、海も国が行政行為などによって一定範囲を区画し、他の海面から区別してこれに対する排他的支配を可能にした上で、その公用を廃止して私人の所有に帰属させることが不可能であるということはいえず、そうするかどうかは立法政策の問題であって、かかる措置をとった場合の当該区画部分は所有権の客体たる土地にあたる。現行法上、海の一定範囲を区画し、これを私人の所有に帰属させることを認めた法律はなく、海について海水に覆われたままの状態で一定範囲を区画し、これを私人の所有に帰属させるという制度は採用されていない。※排他的支配とは、ある者が他者に対して特定の物や状況を排他的に支配する状態を指す。これは、その者が他の誰にも干渉されることなく、独自の意思でその物や状況をコントロールすることを意味する。特に、法的な文脈では、不作為犯や因果関係の支配に関連して重要な役割を果たす。

私有の陸地が海没した場合:私有の陸地が自然現象により海没した場合、当該海没地の所有権が当然に消滅する旨の立法は現行法上存在せず、当該海没地は人による支配利用が可能であり、かつ、他の海面と区別しての認識が可能である限り、所有権の客体たる土地としての性格を失わない。

まとめ

・行政財産である土地を使用していても、使用許可が撤回されれば損失補償不要で使用権はなくなる。

・公の目的に供されることなく放置され、公の目的が害されることなく、財産として維持すべき理由もなくなっているならば、黙示的な公用廃止を認めて取得時効の対象としても問題ない。

・海に関しては、一定範囲を区画して排他的支配を可能にすれば所有権の客体にできる余地はあるが、それは立法の範疇であり、そもそもそんな法律はまだない。

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