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国家賠償法(2条)
【2条】1 道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国または公共団体は、これに対して求償権を有する。
国家賠償法2条
公の営造物:公の営造物とは、国または公共団体により直接公の目的に供されている有体物のこと。
設置、管理の瑕疵:瑕疵とは、公の営造物が通常有すべき安全性を欠いていること。
・国または公共団体に過失がない場合も含む
・公の営造物の機能的瑕疵も含む
損害:公の営造物の利用者以外の第三者に対する損害も含む
賠償主体
賠償責任者:公の営造物の設置、管理を行う国または公共団体が損害賠償責任を負う(2条1項)。
・公の営造物の設置、管理にあたる者と費用の負担者が異なる場合、いずれに対しても損害賠償請求できる(3条1項)。
求償:他に損害の原因について責めに任ずべき者がある場合、損害の賠償をした国または公共団体がその者に対して求償することができる(2条2項)。
免責の有無
【判例】
・県道で工事個所を表示する赤色灯標柱が他車により倒され、その直後に工事個所を通過して事故が起きた場合=免責される(最判昭50.6.26) ※県道上に、道路管理者が設置した「穴を掘る工事中」を表示する工事標識板、バリケード、赤く光るコーンが倒れて、赤い光が消えたままになっていた場合でも、それが夜間、他の車が工事標識板などを倒したことで起きて、倒れた後ですぐに道路管理者が工事標識板などを元に戻して、道路の安全を保持することが不可能だった場合は、道路の管理に瑕疵はなかったというべき。
・通常の用法に即しない被害者側の異常な行動の結果損害が生じた場合=免責される(最判昭53.7.4) ※営造物(防護柵:ガードレール)を、本来の使い方とは違う行動をして事故が起きた場合、防護柵としての安全性は十分で、防護柵に腰をかけて遊ぶという行動を設置管理者が普通は予測できないときは、その事故は、営造物の設置又は管理の瑕疵が原因ということはできない。
・道路の落石防止のために防護柵を設けるなどの措置をとるための予算措置に困却する場合=免責されない(最判昭45.8.20) ※道路に防護柵を設置する場合、多額の費用がかかるため、県としては予算を立てるのが大変なことはわかるが、だからといって道路の管理に瑕疵があって起きた損害に対する賠償責任を免れるわけではないから。
・国道に事故車が87時間放置されており、後続車が激突して事故が起きた場合=免責されない(最判昭50.7.25) ※国道の中央線の近くに、故障した大型貨物自動車が約87時間駐車したままになっていたのに、道路管理者はこのことを知らず、道路の安全保持のために必要な対応を一切しなかったという場合は、道路の管理に瑕疵があるというべき。
河川管理
未改修河川:河川の未改修部分から付近住民に浸水被害が生じたとしても、未改修河川の安全性は過渡的な安全性で足り、特段の事情がない限り、改修が行われていないというだけでは河川管理に瑕疵があるとはいえない(最判昭59.1.26) ※同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しうる安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきであると解するのが相当である。
大東水害訴訟(最判昭59.1.26)
概要:大阪府大東市を流れる河川は、浸水被害が発生したため、改修工事が行われた。改修工事が未完成だった部分から溢水し、付近住民らの家屋が床上浸水したため、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償請求を提起した事件。
争点:改修中の河川における管理の瑕疵はどのように考えるべきか。
結論:治水事業による河川の改修、整備の過程に対応する過渡的な安全性をもって足りる。
判旨のポイント:すべての河川について通常予測し、かつ、回避しうるあらゆる水害を未然に防止するに足りる治水施設を完備するには、相応の期間を必要とし、未改修河川または改修の不十分な河川の安全性としては、諸制約の下で一般に施行されてきた治水事業による河川の改修、整備の過程に対応するいわば過渡的な安全性をもって足りるものとせざるを得ない。当初から通常予測される災害に対応する安全性を備えたものとして設置され公用開始される道路その他の営造物の管理の場合とは、その管理の瑕疵の有無についての判断の基準も異なる。そして、すでに改修計画が定められ、これに基づいて現に改修中である河川については、その計画が格別不合理なものと認められないときは、その後の事情の変動により当該河川の未改修部分につき水害発生の危険性が特に顕著となり、当初の計画の時期を繰り上げるなどして早期の改修工事を施行しなければならないと認めるべき特段の事由が生じない限り、溢水した部分の改修がいまだ行われていないとの一事をもって河川管理に瑕疵があるとすることはできない。
なんでもかんでも国家賠償で対応することはできないけど、自分が被害を受ける立場だったら誰かのせいにしたくなる気持ちもわからなくもない・・・
