行政書士業法2026年改正のポイント

 行政書士の業法が改正され、大変注目されています。今までグレーゾーンとされていた、業務範囲の曖昧さにメスが入り、行政書士の独占業務として線引きがなされました。補助金などの申請代行や、車庫証明などの手続き代行をサービスの一環として行っていた業種の方々も、この改正のポイントを知らないと処罰の恐れがありますので、しっかりと確認しましょう。

行政書士の使命

 行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに、国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命とするものとすること。(第1条関係)

 改正前は、「国民の権利利益の実現に資することを目的とする」となっており、やや営業を連想させる表現でした。商売として国民に関わるような印象がありましたが、使命となったことで責任の重みが増し、より行政書士の公共性がイメージされたのではないでしょうか。その期待に応える働きをしていただきたいところです。

職責

・1 行政書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないものとすること。
・2 行政書士は、その業務を行うに当たっては、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図るよう努めなければならないものとすること。(新第1条の2関係)

 今回新設された2つです。昔は代書屋などと呼ばれていた時代もあったそうですので、時代に合わせた表現になっているものと思います。あわせて、高齢者などデジタル社会についていけない方にも、行政のデジタルサービスの恩恵を享受しろと言っているのではないかと感じます。

特定行政書士の業務範囲の拡大

 特定行政書士が行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することができる範囲について、行政書士が「作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等に関するものから、行政書士が「作成することができる」官公署に提出する書類に係る許認可等に関するものに拡大すること。(新第1条の4第1項第2号関係)

 改正前は、「行政書士が作成した」書類についてのみ、限定的に不服申し立ての代理が認められていましたが、「行政書士が作成できる書類」となったことで限定が解除されたことになります。弁護士や司法書士などの他士業に独占権があるもの(訴訟の代理など)に気を付けて業務を受任することになります。輸出入に関わる税関の措置に対する不服申し立てなどについては、通関士の業務とも直接は抵触しないので、ニッチな業務となるのではないでしょうか。ちなみに特定行政書士とは、通常の行政書士の登録後に改めて基準を満たす必要がありますので、注意が必要です。

業務の制限規定の趣旨の明確化

 行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限規定に、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言を加え、その趣旨を明確にすること。(第19条第1項関係)

 恐らく今回の法改正で一番大きいのはこの部分ではないかと思います。

 もともと公官庁などの役所に届け出る書類は、本人でも作成することができます。専門家が作成することで時間の短縮や精度が上がり、許可や認可が通りやすくなることはあるのでしょうが、通常の届け出は本人が書類の作成をするのが一般的です。

 例えば車を購入する時に必要となる車庫証明や、事業者が助成金の申請や融資の申し込みに必要となる事業計画書の作成などですが、これまでは、これらの書類に関して、車のディーラーの担当者が本人の代理として取得してくれたり、事業のアドバイスを依頼しているコンサル会社が、代わりに作成してくれていたこともあるでしょう。これは建前としては、本人が作成したことにしている場合と、代理作成はしたけれどその分の報酬は貰っていないとする場合があると思います。

 しかし、実際には書類作成に関する費用も、車の購入代金やコンサル料金に換価されているはずなのです。「いかなる名目によるかを問わず」と明文化されたことにより、サービスの一環として行政書士の独占業務に関わることはできなくなります。

 では、無報酬とはどういうことかというと、個人が家族や友人のために無償でやってあげるとか、字が書けない事情がある人や、パソコン操作ができない人のために無償でやってあげるような行為と考えられます。

 抵触する可能性がある業務に関わる人は気を付けましょう。

両罰規定の整備

 行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限違反及び名称の使用制限違反に対する罰則並びに行政書士法人による義務違反に対する罰則について、両罰規定を整備すること。(第23条の3関係)

 両罰規定というのは、個人が違法行為を行った場合に、その個人だけでなく、所属する法人(会社)も同時に責任を負うという規定です。

 先ほどの例だと、車のディーラーの担当者が行政書士業務の制限違反を行った場合、その雇用者である会社も責任を負うということです。

 反対に行政書士法人の行政書士が、業務に関して義務の違反を行えば、その行政書士が所属する行政書士法人も責任を負います。

 この規定があるので、会社が「社員が勝手にやったこと」として責任を逃れることはできません。

施行期日等

1 この法律は、令和8年1月1日から施行すること。(改正法附則第1条関係)
2 その他所要の規定を整備すること。

 この記事を作成している時点で施工されていますので、実際の運用がどのようにされるか注目です。

 

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