行政書士試験における憲法の思想良心の自由、信教の自由に関しては、多くの判例がありますので大事な判例を基に理解を深めたいと思います。
■思想良心の自由
【憲法19条】 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
〈判例〉
・裁判所が、謝罪広告を新聞紙等に掲載すべきことを加害者に命ずる判決をすることは、憲法19条に違反するのか? 👉結果: 単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度の謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命じることは、憲法19条に違反しない(謝罪広告事件:最大判昭31.7.4)
・公立小学校が、音楽教諭に国歌斉唱の際のピアノ伴奏を求める職務を命ずることは、憲法19条に違反するのか? 👉結果: 憲法19条に違反しない(君が代ピアノ伴奏職務命令事件:最判平19.2.27)
・公立中学校が、高等学校進学者選抜の資料としての内申書にビラまきなどの校則違反行為等の事実を記載することは、憲法19条に違反するのか? 👉結果: 内申書の記載は、生徒の思想・信条そのものを記載したものでないことは明らかであり、この記載に係る外部的行為によっては生徒の思想・信条を了知しうるものではないし、また、生徒の思想・信条自体を高等学校の入学者選抜の資料に供したものとも解することはできず、憲法19条に違反しない(最判昭63.7.15)
■信教の自由、政教分離原則
【憲法20条3項】国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
〈津地鎮祭事件(最大判昭52.7.13)〉
事案の概要:津市が、市体育館の起工にあたり、神道式の地鎮祭を行い、費用を公金より支出したことが憲法に違反しないかについて争られた事件。
争点:①政教分離原則は、国家と宗教の関わり合いをもつことを全く許さないとするものといえるのか? ②神道式地鎮祭は、憲法20条3項で禁止される宗教的活動にあたるのか?
結論:①いえない。相当とされる限度を超えるものでなければ許される。 ②あたらない。
判旨のポイント:政教分離原則は、国家と宗教の関わり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、その関わり合いの程度が相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。本件神道式地鎮祭は、宗教と関わり合いを持つことは否定し得ないが、その目的はもっぱら世俗的なものであり、その効果も神道を援助・助長・促進しまたは他の宗教に圧迫・干渉を加えるものとはいえず、憲法20条3項で禁止される宗教的活動にはあたらない。
〈政教分離原則〉
(合憲となった判例)
・市が体育館の建設に際して行った神道式地鎮祭(津地鎮祭事件:最大判昭52.7.13)
・殉職自衛官の護国神社への合祀申請に協力した自衛隊職員の行為(自衛官合祀拒否訴訟:最大判昭63.6.1)
・小学校の建替えに伴い市が忠魂碑を移設しそのための敷地を無償で貸与し、市教育長が慰霊祭へ参列する行為(蓑面忠魂碑訴訟(みのおちゅうこんひそしょう):最判平5.2.16)
・公立学校において、信仰上の理由から剣道実技に参加できない学生に対して、代替措置をとり、その成果に応じた評価をすること(エホバの証人信徒原級留置事件:最判平8.3.8)
(違憲となった判例)
・県が玉串料を靖国神社に奉納したこと(愛媛玉串料訴訟:最大判平9.4.2)
・市が町内会に対して市有地を無償で神社の敷地として利用させた行為(砂川空知太神社訴訟:最大判平22.1.20)
・市が市の公園内に設置された儒教の祖である孔子を祀った孔子廟についてその土地使用料の全額を免除していること(孔子廟訴訟(こうしびょうそしょう):最大判令3.2.24)
政教分離原則のポイントまとめ
政教分離原則でのポイントは、「相当限度を超える関わり合いを持つものだけを禁止」としている点であり、まったく全てを禁止しているわけでないことを理解しておく必要があります。
